身体の不安やちょっとした不調を、24時間365日オンラインチャットで医療専門チームに気軽に相談できるヘルスケアアプリ「HELPO」。福利厚生として取り入れる企業も多く、日本の医療問題をITの力で変えるアプリとして注目を集めています。「HELPO」を提供しているヘルスケアテクノロジーズ株式会社様は、2018年創業のスタートアップ企業です。
今回、株式会社Praztoでは、ヘルスケアテクノロジーズ株式会社様へのご支援としてTableauのダッシュボード作成を実施いたしました。なぜTableau導入に至り、Praztoを選んだのか。ヘルスケアテクノロジーズ様が抱えていた課題から、今回のプロジェクトで解決された点、そして今後のPraztoへの期待を、本プロジェクトをご担当されたヘルスケアテクノロジーズ株式会社の鴻池様、新井様、呂様、そしてコンサルタントを務めましたPraztoの鈴木との対談形式でご紹介いたします。
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 CSO
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 マーケティング課
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 経営企画部
株式会社Prazto
SaaS導入支援事業部 Senior Consultant
■データで意思決定する文化を定着したい。経営判断の情報精度向上のためにTableau導入
―まず改めてとなりますが、御社の事業内容をご紹介頂けますか。
鴻池 :弊社は、「より健やかに暮らすことのできる未来を次世代へ」をミッションに掲げ、ヘルスケアアプリ「HELPO(へルポ)」を提供しています。「HELPO」は、体調が悪くなり始めたときや、ちょっとした心や身体の不安を医師・看護師・薬剤師の医療専門チームに24時間365日気軽にオンラインで相談できるアプリです。これまで、体調が悪くなってから対処を考える、という文化を体調が悪くなる兆しやきっかけをいち早くキャッチし、早期に対処することで症状の重症化を防いだり、健康でいられる期間を維持することに貢献することを目指しています。
「HELPO」を法人の企業様や自治体に提供することで、医療機関とユーザーをはじめ、ヘルスケアに関するあらゆるヒトとモノを繋ぎ、日本全体をより健康にし、健康寿命の延伸に寄与していきたいと考えています。
―ありがとうございます。今回Praztoにダッシュボード制作をご依頼いただく以前から、御社ではTableauを導入されていましたが、当初の導入経緯を教えていただけますか。
呂:元々、マネジメント陣が経営判断する際に使用していた情報の精度にばらつきがあることが課題でしたので、より精度の高い意思決定のためにはデータ整理とビジュアライズが必要だと感じていました。そこで2021年7月にSalesforceを、2021年11月にTableau導入をしました。Tableauを選んだのは、データのビジュアライズができるBIツールとして一番有名だと認識していたからです。
鈴木:弊社がTableau伴走支援を開始したのは2022年5月ですが、なぜそのタイミングでご依頼いただけたのでしょうか?
呂:いざ導入はしたものの、弊社内にTableauの知見が全くない状態だったので、うまく運用できずにいたからです。導入したTableuを最大限活用するために、外部の運用支援いただける企業にサポートを依頼する運びとなりました。
鈴木:確かに、Tableauの知見は習得するまで時間がかかる側面もあるかと思います。Tableau導入後から弊社にご依頼いただくまでの半年間で、新たにどのような課題が見つかったか教えていただけますか?
呂:課題山積みでしたが、その中でも特に大きなものは三点ありました。一点目は人材不足という点。先程もお伝えしましたが、そもそも社内でデータベースの管理・整備・可視化できる人材がいませんでした。
二点目は、データをしっかりと活用するために時間がかかっていた、という点です。先程もお伝えしましたが、社内の各データの精度に課題があったり、欲しい情報が取れていなかったり、データ活用に時間を要していた影響で、データ活用するのに苦心していました。データ活用にあたり取得したデータをすぐに使える、そういった環境の整備が必要だと感じていました。
三点目は、運用面への不安という点。結局、いざTableauをリリースしても社内で上手く使いこなせるのかという悩みが残っていました。
鈴木:なるほど。データを扱う人材不足やデータ文化の醸成というのは、多くの会社様も課題に感じている点でもあります。一方で、その点に明確に課題意識をもたれて改善に取り組まれている会社様はまだ少ない現状です。文化が定着しないまま、なんとなくツールだけある状態はとても勿体ないので、今回ご依頼いただけたことはとても嬉しく思います。
呂:文化の定着はもちろん重要なのですが、課題解決の前提として、高い精度のデータをタイムリーに見ることができる状態を作ることが重要であると感じていたので、今回の依頼に繋がりました。環境の整備、文化の定着を通じ「このデータが足りない」だとか「他にこういうデータがあると良いよね」という会話が生まれ、データがブラッシュアップされていく循環を作っていきたいと思っています。
鈴木:ツールを導入したら課題は解決されると思ってしまいがちですが、実はデータ文化を根付かせることは数年単位での時間がかかります。さらに、そこから売上などの実際の効果に反映されるのはまた時間がかかるもの。今回作成したダッシュボードがまずはその第一歩になれば嬉しいです。
■Tableau専門家としての知見に期待し、Praztoへ伴走支援を依頼
―Tableauの支援において、Praztoを選んでいただいた理由についてお聞かせください。
呂:Prazto社との出会いは、Tableau社の紹介です。Tableau社の営業の方々と導入に向けて相談をさせていただいた中で、「データ文化を定着させるためには、外部の専門家に頼ることが必要」というアドバイスをいただいていました。そこでTableau社が認めている御社の専門性を信頼し、伴走をお願いしました。
当初は既存のTableauを見ていただくことからお願いしようと思っていましたが、商談で話をする中で、鈴木さんを始めPrazto社の皆さまがとてもプロフェッショナルであることを感じ、提案型の仕事の進め方で新規ダッシュボードの作成からでも上手くいきそうだと考え、ご依頼した経緯になります。
正直、ダッシュボード作成はかなり厳しい納期でのお願いだったかと思います。それでも迅速に対応いただき、ありがとうございました。
鈴木:今回、御社側にも毎日しっかりと時間を取っていただいたおかげで短納期が実現できたと感じております。我々が各指標の定義や見せ方を提案させていただいた際には、毎回スピード感あるジャッジをいただけました。御社の判断の速さがなければ、ダッシュボード作成にはもっと時間がかかっていたかもしれません。
■5月初旬にヒアリングし、5月中旬にはプロトタイプ提出。Praztoのスピード感に感動
鈴木:ちなみに、本プロジェクトを進める上で、何か苦労した点はございましたか?
呂:弊社側の問題として、お話してきた人材不足が要因でもありますが、ダッシュボード作成のための具体的な要件定義を1から整理しないといけなかった点は苦労しました。
これまで「データはExcelを使って表現する」というイメージがありましたし、今回弊社側のプロジェクトチームも発足したてでスキルが十分とは言えない状況だったこともあり、私も含めてeラーニングでTableauについて学びながらプロジェクトを進めている状況でした。
我々からどんな要望をあげたら良いのかも掴みきれていない状況でしたが、1~2回打合せをしただけで、御社からほぼ完成系に近いイメージを提案いただいき、とても驚いたのを覚えています。
鈴木:ありがとうございます。
呂:また、弊社のデータベースの管理人材が足りないので、蓋をあけてみたらデータが万全な状態に整ってないということもあり得ると思っていました。しかし、その点も御社に伴走いただいたおかげで自社内のデータの課題を解像度高く把握することができ、プロジェクトに関しては思ったよりもつまずかずに済んだ実感があります。
鈴木:ヒアリング前の段階で御社からデータを提供いただいたり、カラム定義をしていただいたりと、リードタイムを短縮できるよう作業を進めていただいたので、とても進めやすかったです。
呂:とは言え、御社の仕様理解の速さにも驚きました。例えばSalesforceに直接ログインしてデータを見るのと、弊社が用意したデータテーブル定義書だけを見るのとでは、理解度が異なってくると思います。それでもお見せしたデータだけで仕様を理解いただいたのは本当にすごいと思った点です。
鈴木:ありがとうございます。恐らく、私が前職でビジネスユーザーとしてデータ分析をしていた期間が長かったことがプラスに働いたのかもしれません。
呂:私もエンジニアではなくビジネスサイドの人間なので、正直、当初はよくあるビジネスサイドとエンジニアサイドでの認識の齟齬のようなものが生まれるのではないかという懸念はありました。でもまったく無用な心配でしたね。
鈴木:御社もTableauでの見せ方や、データの課題に関する理解度が高く、とても作業しやすかったと感謝しております。
呂:あと、完成イメージのすり合わせがかなり早い段階で出来たのも嬉しかった点です! 5月初旬にヒアリングをして、5月中旬には一定のプロトタイプをご提案いただけましたよね。先にイメージを擦り合わせた後に、細かい工程の分解も同時進行で行うという工程管理がとても進めやすかったです。
鈴木:そのようなお言葉をいただき、嬉しく思います。私としても、なるべく早い段階でプロダクトをダッシュボード上でお見せすることは、意識している点です。完成イメージをベースにすることで、具体的な議論に繋がり、プロジェクトが進めやすくなると考えています。
呂:プロジェクトを進める上で、例えばこちらではどうすることもできないデバイスやマスタの問題もあったかと思います。そこをうまく回避して作業の進行を止めなかったのも、上手いタスクの分け方だなと感じました。
■今回のダッシュボードを元に、他部署でのデータ活用も活発に
鈴木:大変恐縮です。今回のご支援で、当初の課題で解消された部分はありますか?
呂:そうですね。KPI ダッシュボードのおかげでデータ作成の作業工数がなくなり、しかも毎日見られるようになったので、最低限の課題は解消されたと思っています。
また、これは当初想定していなかったのですが、データ管理者以外のデータ活用も進んでいます。例えば、マーケティングを管轄している部署では、よりニーズに合う表現にデータを変えたり、部署が持つデータを加えたりと、すでに独自での活用を始めています。このように、データを活用した企画や、施策を検討するという文化が会社全体に少しずつでも広がっていけばいいなと思っています。
株式会社Praztoが構築したTableauダッシュボード(一例)
(※データはイメージです)
コンサルティングから実装まで一気通貫で弊社のSalesforce/Tableauコンサルタントが
効果的なご支援を実施いたします。
鈴木:そうだったのですね。今回作成したダッシュボードを、御社の中で一つのテンプレートのようなものにしていただけたら幸いです。複製して二次利用していただいたり、分解してスキルの習得のお役に立てていただいたり。とことん使い尽くしていただければと思います。
■「人の感覚」が重要なヘルスケア領域だからこそ、検証可能なデータを基盤にしたい
―では、今回Prazto社にご依頼いただいて良かったと感じた点もお聞かせください。
呂:一番はやはりスピーディーな対応です。御社にお願いしていなかったら絶対に社内へのリリースはずっと先になっていたと思います。元々行っていたExcel 上でのデータ管理・運用だと情報が足りない部分があり、経営判断に支障が出ていたので早くその改善に取り掛かりたかった状況でした。まず改善の第一歩を踏み出せたのは、知見があるPrazto社に助けていただけたからだと思います。
―今後、Salesforce やTableauをどのように活用されていく予定ですか?
呂:Salesforce導入の主な目的は、営業現場の見える化でした。よって今後は営業工程を分解し、なるべく営業サイクルを早く進め、成約率を高くしていきたいですね。Tableauは、上手く活用して経営判断を早くするという主目的を達成させつつ、さらに日々のオペレーション改善にまで繋げていきたいと思っています。
弊社はデータに関する知見がまだ少ない状態です。今はまだ見えていないニーズが出てきた場合も、ぜひディスカッションさせていただくことができれば嬉しいです
新井:マーケティングの視点でも少しお話させていただきます。当部門でも以前からセールスのデータを活用したマーケティングをしたいと考えていましたが、データの整備に苦戦していて、関わる人数が増えたら増えただけデータのとりこぼしが増えてしまうだろうと懸念していました。そこで、Salesforceの導入を機に、「データ×営業」の入り口をまずは整備し、マーケティングチームもデータを見ながら、さらにデータの精度を高めてマーケティング活動に活用していきたいと思っています。
そしてさらにTableauが導入されたことで、新たなシナジーも生まれますし、やりたいことも広範囲で出てきています。最終的にはExcelやパワーポイントのように、マーケターも自らデータを見に行けるようにしたいという話もあるくらいです。
また、今後新しいサービスが生まれれば、新たなデータの仕組みが必要になることもあると思います。ある課題が解決したらまた別の課題が生まれて……という状況を繰り返す中で、データは一つの基準を指し示すものだと考えています。ヘルスケア領域は「人の感覚」が関わってくる領域でもあるので、全てを数字で判断することは難しいかもしれません。しかし、数字がベースにあれば、たとえ判断に失敗しても判断に使用した数字を振り返ることで検証ができます。だからこそ、データが各施策、アクションの基盤になる状況を目指していきたいと思っています。
鈴木:マーケティング部門は、一番データをお持ちだと思います。だからこそおっしゃる通り、マーケターの方こそTableauを使いこなせていただけると思っています。
また、御社のように経営判断のためにTableauをご利用されている企業様は多くいらっしゃいます。例えばSalesforceとTableauの統合も進めることで、Salesforce上のデータ可視化も実現できます。ぜひ今後も両者を活用していただきながら、また弊社にお声かけていただければ、嬉しく思います。
(写真・小川拓也/構成・菱山恵巳子)