前章では、プロジェクト管理における可視化の課題について詳細に解説いたしました。本章では、その課題に対するPraztoの解決策として、Tableauを活用したダッシュボードをご紹介いたします。
このダッシュボードは以下の2つの重要な機能を実現しています:
- 収益性低下プロジェクトの早期検知
- 問題の根本原因の分析
どのようにしてこれらの機能を実現したのかをご紹介いたします。
データ統合によるプロジェクト別利益率の算出の実現
前章では、システムの分散化とデータ統合の課題により、既存のシステム構成ではプロジェクト別の利益算出が困難であることを説明いたしました。
当社では、この問題に対し、複数システムのデータをデータウェアハウス(DWH)に統合し、一元的に計算処理を行うアプローチを採用しています。本ダッシュボードの開発においても同様の手法を適用し、以下のシステムと情報を連携しています:
- Salesforce
- 売上情報
- プロジェクト情報
- メンバーのプロジェクト別稼働時間(TeamSpirit)
- メンバーの職位・職務に応じたグレード単価
- freee会計
- 外注費情報
これらの情報をBigQueryに統合し、利益率の算出を行っています。
前章でも言及しましたが、メンバーの実際の給与は非公開情報であるため、広く共有されるダッシュボードでの使用は適切ではありません。そこで、実給与の代わりに各メンバーの職位や職務に基づくグレード単価を使用して計算を行っています。
具体的な計算式は以下の通りです:
このアプローチにより、システムの分散化とデータ統合の課題を効果的に解決いたしました。
ダッシュボードの構成について
以下の3つの主要な要素で構成いたしました。
①事業全体の時系列売上グラフ
- このグラフは事業全体の売上を時系列で表示し、利益率を色で表現しています。青が黒字、赤が赤字を示し、一目で収益状況を把握できます。
②プロジェクト別売上・利益散布図
- 売上(X軸)と利益(Y軸)の散布図を用いて、各プロジェクトの収益性を視覚化。売上の大小だけでなく、利益率の高低も即座に理解できます。
③プロジェクト詳細ダッシュボード
- 散布図から特定のプロジェクトを選択すると、そのプロジェクトの詳細ページに遷移。時系列での売上、利益、利益率、および関連コストの一覧を表示し、詳細な分析が可能です。
ダッシュボードを使用した運用設計
このダッシュボードを活用することで、以下のようなデータに基づいた効率的な運用が可能となりました。
- 全体の収益性の迅速な把握と問題点の特定
- 問題プロジェクトの識別と、その影響度の評価
- 個別プロジェクトの詳細分析による根本原因の特定
さらに、本ダッシュボードは以下の多角的な分析も可能にしています。
- 商材別の収益性分析
- プロジェクトマネージャー別のパフォーマンス評価
これにより、次のような高度な分析と対策が実現可能となりました。
- 特定商材における収益性の課題の発見
- 個々のプロジェクトマネージャーの強みや改善点の特定
- 成功事例の分析と、それに基づくプロジェクトマネージャーの育成支援
このシステムを通じて、短期的な問題解決だけでなく、中長期的な改善策の立案と実施が可能になりました。同一のダッシュボードで継続的に状況を監視し、PDCAサイクルを効果的に回すことで、データ駆動型での業務運営を実現しています。
今回は、Tableauを活用したプロジェクト管理の改善についてご紹介しました。しかし、なぜ多くの選択肢の中からTableauが選ばれたのでしょうか?
次章では、「なぜTableauなのか」というテーマで、Tableauの特長について詳しく解説します。