2019年1月の創業以来、伴走型でSalesforceの導入支援を行ってきたPraztoは、プログラミング不要で複数SaaSを連携するクラウドネイティブiPaaS企業(※iPaaS:integration Platform-as-a-Service)である、Anyflow株式会社と2020年5月に協業により【契約作成・締結プロセスを自動化する連携機能】を共同で提供開始いたしました。
Anyflow株式会社 代表取締役CEOである坂本蓮さんに、Prazto代表の芳賀が、アフターコロナを見据えたDXの在り方とiPaaS/SaaS連携の重要性についてインタビューを行いました。
Anyflow株式会社 代表取締役CEO。1992年山梨県生まれ。中学生の時からプログラミングを始め、経済産業省主催のU-20/U-22プログラミングコンテストの受賞、KDDI∞Laboでのプレゼンテーション、シリコンバレーでのインターン等を経験。大学卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。サーバーサイドエンジニアとして、API基盤開発に従事。その後、Anyflow株式会社を創業。「EY Innovative Startup 2020」にて、今後著しい成長が期待されるスタートアップ企業として「Enterprise」を受賞するなど、現在注目される企業である。
Prazto代表。1982年生まれ、38歳。大学卒業後、SIerに就職。外資系マーケティング会社やSalesforceゴールドパートナー企業と3社を渡り歩きながら、10数年エンジニアとして働き、2019年1月にPraztoを創業し同年5月に独立。伴走型のSalesforce導入支援サービスを行い、企業課題の解決を支援する。
”コロナショック”でエンタープライズ企業にまで普及が加速したDX
芳賀:新型コロナウイルスが蔓延し、4月7日に緊急事態宣言が発令されるななどで不要不急の外出自粛が求められる中、企業では一気にテレワーク化が進みました。坂本さんは昨今のDXの広がりについて、どのように実感されていますか?
坂本:そうですね、この状況下で老舗の大企業でもZoomなどのweb会議システムが普通に使われるようになりました。不要不急の出社や顧客訪問が強制的に禁じられるような事態になっていなければ、ここまで一気に普及することはなかったはずでしょう。その意味では、私たちのようなITベンチャーにとっては追い風ですね。特にAnyflowが手がけるiPaaSというのは、SaaSが増えるほど伸びる技術ですし、SaaSを多く導入している企業ほど価値が感じられるもの。ですから、各企業がSaaSを導入する必然性が出てきた今は、事業としては大きな追い風だと思います。
芳賀:SaaSそのものの浸透についても、大手企業においても進んだという感じはありますか?
坂本:ありますね。実際、当社で想定していなかったような、それこそ老舗の一流企業からも問合せが入るようになりました。この数ヵ月で一気に流れが変わりましたね。
問合せ内容の一例としては、『SalesforceなどのSFAや、カオナビなどの人材管理システムを導入する。その際に、自社のデータベースと連携されていないために、例えば退職者のデータがそのままシステム上に残っていたりする。そこで必要な情報をリアルタイムに反映させるため、iPaaSが求められる』などといったケースが多いですね。
芳賀:なるほど。SaaSやiPaaSの広がり自体がますます加速しそうですね。
坂本:大企業でのSaaSの浸透に関連して、もう一つ、”SaaSのコストメリット”への気づきがあると思います。従来使ってきたソフトウェアパッケージやオンプレミスで、開発・運用に膨大な費用をかけてきたのが、SaaSに置き換えると「こんなに安くできるのか」と気づくと思うんですよね(笑)。それに気づいてもらえると、『オンプレミスからSaaSへの移行』はあっても、その逆は無いですよね。大企業がSaaSの価値に気づいてくれたのは、とても有難い流れですね。実際、この新型コロナの流れ以前からもSaaS市場は右肩上がりで、年に約15%成長の勢いはありました。今は、その角度がさらに大きくなっていると思います。
紙業務からのDXはどうやって? 『業務の電子化としてのSaaS、現場主導で自動化を進めるためのiPaaS』
芳賀:紙業務からのDXの手順として、まずは何より「データの電子化」が第一で、その次にSaaSを使って「”業務”を電子化」する流れが一般的だと思っています。弊社が商材として扱うSalesforceはまさにその代表例で、単なるデータの箱としてのSaaSではなくて、他部署が扱うデータへの変換や承認フローに関しても扱えます。その次に、導入したSaaSが有効に機能するように自分たちの業務を変えていく、これが重要だと思っています。
Praztoが商材として扱うSalesforceを活用した業務プロセスの例
坂本:その通りだと思います。「今ある業務プロセスをそのままロボットに置き換えるようなものがDXか?」と聞かれると、それは違うと思うんです。それよりも、BPR(※ Business Process Reengineering。ビジネスプロセスを見直し、抜本的に再設計する業務改革手法。)のような業務プロセスの見直しや代替を経て、それぞれベストなソリューションを選んでつなぎ合わせることのほうがDXの本質だと思っています。
芳賀:そうですよね。iPaaSであれば、SaaSとSaaSをつなぎ合わせてプロセスを変革できますよね。iPaaSを使えば、担当者が集まってホワイトボード上で業務フローを整理しながら、その傍らで実際に画面上でSaaSをつなげて、どういう風に変わるのかをその場で討議して決定する事ができる。早く決定できた分、本質である業務プロセスの変革について集中して考える時間を割くことができますね。
坂本:従来はそれをエンジニアに依頼・外注しないとできなかったんですよね。でもAnyflowというiPaaSを使うことで非エンジニアでも、誰でもできるようになります。当社ではそれを”民主化”と呼んでいて、「自動化を民主化させる」というミッションを掲げています。
芳賀:なるほど。業務フローの最適解は個社ごとにあって、そこに詳しい人には、システムに詳しくない人も多い気がします。Anyflowであればそれを非エンジニアだけで討議できるので、それは大きな利点ですね。自動化の民主化、SaaSが普及した次の一歩としてのITの姿ですね。
ノンコーディングでSaaS間の連携を設定できるAnyflowの管理画面
『iPaaSは、ERPのアンバンドル』 現場主導でのERPのカスタマイズ、再構築がiPaaSで可能に。
坂本:Anyflow社が提唱してきたのは、「iPaaSはERPのアンバンドルであって、次世代のERPとなるだろう」ということなんです。ある会社がSaaSを導入し、別のSaaSも使うようになり、さらに使いやすくするためにiPaaSでつなぐことで、ERPのようになるわけですね。
芳賀:それはいいですね。「現場主導でカスタマイズされたERP」ということですね。
坂本:実際、各企業でSaaSが導入されるときも、現場主導であることが多いと感じます。やはりSaaSは技術的にもコスト的にも手軽に導入できるものなので、現場主導で決めやすいんですよね。そうして、次々といろいろなSaaSが導入されるから、連携が必要になるんです。それで、iPaaSの出番となる。
手段は異なるが目指す未来はとても近しいAnyflow様と弊社。両社の事業の展望についてお話をさせていただきました。
芳賀:Praztoは、企業のSaaSによるDXを『伴走型』で支援する事業を進めていますが、そのモデルについてどう思われますか?
坂本:とてもいいと思っています。先ほど話したように、まずSaaSを導入して業務を電子化して、その後SaaSに合わせて業務を変革するという流れが重要ですので、伴走型の支援は歓迎されるでしょう。また、Salesforceを専門性高く扱えるエンジニアが、日本にはそもそも不足しています。Anyflowとの連携でも、業務に落とし込んだ設計のディテールにおいては、もう一段踏み込んだ専門知識が必要になってくるので、当社としても大変助かっています。そうしたニーズも、ものすごく高いでしょうね。
芳賀:伴走というのは、より細かくPDCAサイクルをお客様と一緒に回していく事だと思っています。従来の6ヶ月かかって初めて実物を触ることのできるスクラッチ型のシステム構築では、どうしても形の無い設計段階でFit & Gap分析などをせざるを得ませんでした。でも、SaaSであれば無料トライアルや低額の月額料金で、“まずシステムに触ってから自社の業務とのFit & Gap分析”が出来ますよね。様々な業務のSaaSが普及した現在であれば、これをシステム構築のプロセスにも応用できます。
・SaaSの「すぐに使って試すことができる」を最大限に活かし、1ヶ月ごとに「コンサルティング→実装・設定→運用支援」を繰り返します。
・これにより運用してみて初めてわかる「もっとこうしたい」を早く引き出します。
より細かく効果検証をして「使えないシステム」が出来てしまうリスクを最小化しています。それが伴走型の本質だと思っています。
あとは構築後の変化への対応の側面ですね。SaaSのスタートアップのお客様って、成長スピードがものすごく早い。だから、この前作ったものも、すぐビジネスの状況にそぐわなくなったりします。Praztoでは伴走型で支援しますから、それもすぐ修正できるなど、PDCAサイクルをお客様と一緒になって回していきます。それも伴走型の強さですね。
芳賀:Anyflow社の今後の事業展開について教えてください。
坂本:iPaaSを推し進め、インフラが広がっていくと、会社ごと・業種ごとの業務自動化にまつわるデータが集積できるでしょう。この業種ではどういうSaaSを組み合わせるとよいか、どういう頻度でどういう業務が行われているのかといったデータですね。それらを分析・加工して、iPaaSやSaaSを導入する企業にベストプラクティスを提案できると考えています。そうした知見を集め、自動化プラットフォームができるかもしれませんし、業務コンサルの大手ファームとの連携などもあり得るかも。そんなことを考えています。
芳賀:なるほど。大企業でもiPaaS導入が進みつつありますから、そのデータの活用は楽しみですね。
坂本:あとは、海外にいくつもiPaaSが展開されるなか、日本向けで事業展開している強みもあると思っています。独自の商慣習や業務・承認プロセス、会計基準など、日本固有の状況があるので、同じ機能をもつiPaaSがあったとしても、日本企業にとっては日本向けに開発されているAnyflowにアドバンテージがあるでしょう。
芳賀:たしかに、ほかのプロダクトでも、特に大企業では日本の商慣習に合ったものでないと採用されないと聞きますし、実際そのとおりでしょうね。PraztoもSalesforceの導入支援の中で、複雑な多段連携をするときは結構大変ですね。ぜひAnyflowを使ってこの課題を解決したいです(笑)
これからも一緒によろしくお願いします!
坂本:こちらこそよろしくお願いします!