「”当初の”予算・目標に対して現在の結果はどう?」Salesforceのデータの履歴・スナップショットの残し方

2025.09.10

目次

    はじめに

    みなさんは、Salesforceで目標や予測収益を管理する際、どのような方法で管理されていますか?定期的に、その時点の状況に合わせて目標値や予算を変更して管理される企業様も多いのではないでしょうか。もちろん、そのような管理方法に問題があるわけではありませんが、課題となる事項が出てきます。

    その課題とは、当初の予算・目標値に対してどのような結果となったかを追跡しづらくなってしまうというものです。Salesforceではもちろん履歴データの管理は可能ですが、あくまで画面に表示されているレコードの情報や、レポート・ダッシュボードで測定される情報は、その時点での最新データです。
     
    仮に期初で10億円の予算・目標値を設定し、運用していく中でこれを下方修正して5億円の予算・目標値に変更したとします。下方修正後の予算・目標値に対して達成したとしても、当初の10億円に対してはどうだったのでしょうか。振り返りを行う上で、当初の前提条件と何が異なっていてこの状況になったのかを、変遷をたどりながら確認していくことは非常に重要です。「全体として10億円が5億円に変更された」程度であれば、システムで管理しなくても対応可能かもしれませんが、部門や商品軸で細かく変遷していった場合、システムで適切に管理しなければ、当時の予算と現在の実績を比較することは困難と考えられます。

    週次でその時点のスナップショットデータを保存しておく

    この課題に対する解決策は、ある意味でシンプルです。適切なタイミング(例として週次)でその時点のデータを別途保存しておき、後から振り返れるようにするというものです。これを振り返りに必要な範囲と粒度で保存する仕組みをシステムとして準備しておきます。このデータを基にして、「過去時点の予算」と「現在の実績」を比較できるようなTableauダッシュボードを作成して運用するという方法です。
     
    では、このスナップショットデータはどのように保存すればよいでしょうか。現実的な案として3つの方法が考えられるので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
     

    3案についての概要のご紹介

    では、このスナップショットデータはどのように保存すればよいでしょうか。現実的な案として3つの方法が考えられるので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
     
    まず3つの案についてご紹介いたします。
     

    • ①Tableau Prepを使用して、Tableau上に履歴データを保存する
    • ②DWH側のバックアップ処理で、DWH内に履歴データを保存する
    • ③Salesforceのレポート分析スナップショットを使用して、Salesforce内に履歴データを保存する

    それぞれの①〜③について詳しくご紹介いたします。

    Tableau Prepを使用して、Tableau上に履歴データを残す

    まずこちらの方法ですが、Tableau Prepを使用して履歴データを保持する方法です。Tableau Prepでのデータ保存方式として「追記」という方式がありますので、それを利用して各データを保存いたします。

    概要

    Tableau Prepを使用して、それぞれの週時点のSalesforceデータを「追記」形式でTableau Cloudのデータに保存していきます。Forecastのようなデータの場合、週単位で保存していくことが一般的です。

    メリット

    DWHのような大掛かりな仕組みを用いずに、Tableauシステムの中で完結します。

    デメリット・留意点

    履歴を保存するTableau Prepがエラーまたは何らかの事情で実行されなかった場合に、過去に遡ってデータを取得することができません。この課題は他の手法でも発生し得る課題ですが、Tableau Prepでの処理の場合、ユーザーが個別に作成した履歴保存手段という意味合いが強く、そのため最も表面化しやすいと考えられます。

    DWH側のバックアップ処理で履歴データを残す。

    次にこちらの方法ですが、DWHのバックアップ機能を使用して履歴データを保持する方法です。多くのDWHには、管理機能として定期実行処理でデータを他のテーブルに移す機能があります。この機能を利用して履歴データを保持していきます。

    概要

    DWHのバックアップ機能を使用して、それぞれの週時点のSalesforceデータをDWH内に保存していきます。Forecastのようなデータの場合、週単位で保存していくことが一般的です。

    メリット

    DWHは非常にストレージサイズが大きいため、細かい粒度のデータもすべて履歴を取得できます。DWHの管理画面から簡易的に設定できます。

    デメリット・留意点

    DWHのような大掛かりな仕組みが必要となります。Tableauシステムの中で完結しません。

    Salesforceのレポート分析スナップショットを使用して履歴データを残す。

    最後はSalesforceのレポート分析スナップショット機能です。こちらはSalesforce標準機能で、定期的にSalesforceのカスタムオブジェクト内にスナップショットを保存していくものです。保存すべきデータの粒度が明細情報でなく、Salesforce内で完結するものであれば、こちらが適していると考えられます。

    概要

    Salesforceのレポート分析スナップショット機能を使用して、それぞれの週時点のSalesforceデータをSalesforce内に保存していきます。Forecastのようなデータの場合、週単位で保存していくことが一般的です。

    メリット

    Salesforce標準機能のため、追加のシステム構築が不要です。Salesforceの管理画面から簡易的に設定できます。

    デメリット・留意点

    ストレージサイズに制限があるため、細かい粒度のデータをすべて履歴として保存することは困難です。明細レベルのデータではなく、集計されたデータでの保存が前提となります。

    まとめ

    今回は、Salesforceのデータが日々変わっていく中で、どのようにその変遷を管理すればよいかをご紹介いたしました。このような管理の中で振り返りを行うことで、当初の目標値がなぜ達成できなかったのかを分析し、より有益な分析ができるようになると考えられますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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